• さいたま市中央区にある医療法人泉仁会ハートクリニックです。当クリニックでは、高血圧症・脂質異常症・糖尿病・慢性腎臓病などの生活習慣病や不整脈・心臓弁膜症・心不全・心筋梗塞・狭心症などの循環器疾患や睡眠時無呼吸症候群などの診断と治療を行っています。

【そもそもコロナウイルス感染症とは】

  1. コロナウイルス感染症は、現在まで6種類が知られています;
  2. ①通常感冒の原因となる4種類(HCov-229E、HCov-OC43、HCov-NL63、HCov-HKU1)が知られています;通常感冒の10~15%(流行期には35%)が、これらの4種類のウィルスによると言われています;
  3. ②重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV) は、キクガシラコウモリを自然宿主として2002年11月に初めて中国広東省にて確認されたコロナウイルス感染症です;子の感染症は、2003年には収束しています;
  4. ③中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)は、ヒトコブラクダを自然宿主として2012年にサウジアラビアで発見されましたが、現在も感染症の発生は収まっていません;
  5. 以上の6種類が現在まで知られているコロナウイルス感染症ですが、今回の新型コロナウイルスは7種類目となります:従来のコロナウイルスと新型コロナウイルスとの大きな違いは、ウィルスが宿主細胞に侵入するときに使用するスパイク蛋白の形状(切れ目があり、侵入時に開裂する性質を有する)だと言われています;詳細については、こちらまたはこちらを参照してください;

【新型コロナウイルスワクチンの概要】

  1. 新型コロナウイルスの拡大が急激に進行しておりますが、人類は対抗手段としての治療薬やワクチンを手にしていません;2020年12月初旬から、やっとワクチンの接種が欧米で始まりましたが、わが国では2021年四半期内に接種開始が予定されています;
  2. 下表に示しておりますように、現在は3社のワクチン製造メーカーとの契約ないし基本合意が交わされております;わが国の予防接種に関する基本的な考え方としては①ワクチンで予防できる疾患(VPD)はワクチンで予防する事②ワクチン接種については科学的根拠に基づいて評価する事となっています;
  3. 感染症を抑制するためにワクチンは重要であることは間違いありませんが、特に疾患のない健康人や糖尿病などの基礎疾患のある人に接種することから、高い安全性が求められています;
  4. ワクチン接種は新型コロナウイルスの収束につながることが期待されていますが、接種を受けるかどうかの判断するときの注意点がいくつかあります;①現在まで呼吸器系ウィルスに対して終生免疫を獲得できるワクチンは存在しません;例えば、インフルエンザワクチンは毎年受けないと防御抗体はできません;従って、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けても再感染を防ぐことは出来ないと思った方が良いでしょう;②新型コロナウイルスワクチンは、非常に短期間で作成されたワクチンなので、安全性と有効性に関しては十分な検討が行われていない部分もあります;例えば、ワクチン接種後どのくらいの期間効果が持続するのか、特に高齢者や基礎疾患を有する方の重症化を防ぐ力を持っているのか、副作用はどのようなものがあるのか等々、まだまだ不明な点が多いようです;

【新型コロナウイルスの作用機序】

  • これまで、わが国で接種されていたワクチンは、大きく分けると生ワクチン(麻疹・風疹ワクチンなど)と不活化ワクチン(インフルエン・ワクチンなど)の他、子宮頸がんワクチン(HPVによく似た “偽16型、偽18型のHPV”を合成)の様なワクチンがあります;
  • 今回の上記3種のCOVID-19ワクチンは、基本的にはmRNAワクチンですが、この3種類ともに新型コロナウイルス(COVID-19)から取り出して作ったものではありません;ファイザーとモデルナの製品は、ウィルスのRNA遺伝子のなかで、スパイク蛋白を作る遺伝子のmRNA(メッセンジャー・アール・エヌ・エー)を合成して”脂質ナノ粒子”に封入し、カプセル化して人体に筋注にて投与して、COVID-19に対する抗体を作る仕組みとなっています;また、アストラゼネカ/オックスフォード大学のワクチンも、スパイク蛋白を作る遺伝子のmRNAをチンパンジーのアデノウイルスをウィルスベクターとして利用して、内部にmRNAを組み込んで人体に筋注にて投与してCOVID-19に対する抗体を作る仕組みとなっています:いずれのワクチンもCOVID-19の遺伝子のそのものを使って作成したワクチンではないので、このワクチンでCOVID-19に感染する心配はありません;
  • COVID-19が感染するときには、このスパイク蛋白がヒトの細胞膜の表面に発現しているアンギオテンシン転換酵素2(ACE2)に結合して細胞内に侵入しますので、このスパイク蛋白を抑えることによりCOVID-19の感染を防ぐ事が期待できます(降圧剤のACE阻害薬を内服している方が、COVID-19に感染し易くなるような事はありません);
  • このmRNAワクチンによって、ヒトの筋肉細胞やリンパ球の細胞膜表面にCOVID-19のスパイク蛋白が発現し、ヒトの免疫系がスパイク蛋白を認識して抗体の産生を始めることによって、COVID-19に対する免疫が働くようになります;また、筋肉注射をしたCOVID-19ワクチンに含まれているmRNAは体内に残ることなく自然消滅してしまいます;
  • COVID-19mRNAワクチンについての分かりやすい説明についてはこちらをご覧ください。更に詳しい説明をご覧になりたい方はこちらをご覧下さい
企業/アカデミアワクチンの種類と保存年齢接種量/回数有効率
米国/ドイツファイザー/ビオンテックmRNA:-70℃の冷凍保存≧16歳2回(21日間隔)95.0%
米国モデルナmRNA:-20℃の冷凍保存≧18歳2回(28日間隔)94.5%
英国アストラゼネカ/オックスフォードウィルスベクター:冷蔵保存≧18歳2回(28日間隔)90.0%

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